【目次】
到着
妻が入院している産婦人科に到着したのは、22時過ぎのことだった。
それまで妻に付き添ってくれていた、妻のお母さんと交代する形で院内に入った。
助産師さんに、すぐに分娩室に連れていかれると、痛みに顔を歪ませた妻がベッドに横たわっていた。
笑顔はなかった。
押し寄せる陣痛に苦しむ妻
分娩室に入ってからは、押し寄せる陣痛の波と戦う妻をひたすらサポートした。
と言っても、言われるがままに動くだけだったが…。
腰が痛いと言えば腰をさすり、後半になると陣痛が来るたびに「お尻から出そう」になるみたいで、ひたすら右手をグーにして妻のお尻の辺りを押した。
もちろん、飲み物も。
運命の瞬間
そして、次の日の午前1時を過ぎた頃。
助産師さんからの要請で、僕は廊下に出ていたのだが、分娩室の方へと向かう白衣を着た60代ぐらいの男性とすれ違う。
ま、まさか、、!
やはり、予想は当たっていたようで、その後すぐに僕も分娩室に呼ばれた。
分娩室では、妻がM字になっていた。
通り過ぎに、あの場所を見ようと思えばもう少し見れたかもしれないが、出血もあり(正直、見るのが怖くて)チラ見しかできなかった。
妻の背面に来ると、「はい、もうすぐシャッターチャンスですよ」の声が。
え?もう!?
気持ちが追いつかない自分がいた。
そして、お馴染みの「ひー、ひー、ふー」
ここで時間がかかると思いきや、意外と早かったのを覚えている。
我が子の、誕生の瞬間。
「オギャー、オギャー!」
良かった、泣いてくれた!
1番初めに思ったのは、それだった。
極めて冷静に、五体満足か瞬時に調べた。
事前に男の子だとは知っていたが、アレも問題なく付いていた。
立ち会い出産を終えて
出産後、妻は我が子と1週間ほどその病院へ入院した。
僕も付き添い人として少しの間滞在した。
僕たち夫婦にとって、初めてのミルクを作るという作業。
首が座っていないので、しっかりと頭を支えながらゲップをさせる。
初めは慣れないもんだからヒヤヒヤしながら、終わったら僕は変な汗をかいていた。
ありきたりな感想になってしまうが、元気に生まれてきてくれて本当にありがとう。
妊娠、出産を無事に乗り越えた妻と、サポートしてくれた妻の家族や病院関係者の方々にも、とても感謝している。
これからが大変だと思うが、しばらくは余韻に浸かりたいと思う。